50歳以上(平均年齢81.4歳)を対象とした前向きコホート研究において、急性呼吸器症状による緊急入院では、RSウイルス(RSV)陽性者がSARS-CoV-2やインフルエンザA/B陽性者と比較して、30日全死亡率が高かった。このことからRSV感染症は、高齢者の看過できない死亡リスク因子であることが示唆された。本研究結果は、森本 剛氏(兵庫医科大学)らによって、Clinical Microbiology and Infection誌オンライン版2026年1月10日号で報告された。
研究グループは、日本の3施設(島根県立中央病院、洛和会音羽病院、奈良市立病院)において、急性呼吸器症状または徴候を呈して緊急入院した50歳以上の成人を対象に、前向きコホート研究「EVERY study」を実施した。登録期間は2023年7月1日~2024年12月31日とした。入院後24時間以内に採取された鼻咽頭ぬぐい液を用いて、FilmArray呼吸器パネル2.1による多項目遺伝子検査を行い、RSV、SARS-CoV-2、インフルエンザA/Bの陽性割合と臨床転帰(30日全死亡、下気道疾患[LRTI]、modified LRTI[画像所見を組み込んだ定義])を検討した。また、ワクチン接種歴(COVID-19[新型コロナウイルス感染症]ワクチンとRSVワクチンは過去に1回以上接種で接種あり、インフルエンザワクチンは当該シーズンに1回以上接種で接種ありとした)も調べた。
主な結果は以下のとおり。
・解析対象となった3,067例(平均年齢81.4歳、男性55.3%)において、各ウイルスの陽性割合は、インフルエンザA/Bが2.3%、SARS-CoV-2が18.0%、RSVが1.6%であった。
・解析対象(3,067例)のワクチン接種割合は、インフルエンザワクチン37.9%、COVID-19ワクチン62.3%、RSVワクチン0%であった。
・抗ウイルス薬の投与割合は、インフルエンザA/B群62.3%、SARS-CoV-2群71.8%、RSV群0%であった。
・30日全死亡率は、インフルエンザA/B群が2.9%であったのに対し、SARS-CoV-2群8.4%、RSV群14.3%であった。
・インフルエンザA/B群を対照とした場合の30日全死亡の調整オッズ比は、SARS-CoV-2群が2.9(95%信頼区間[CI]:0.83~17.9)、RSV群が5.2(95%CI:1.2~36.7)であり、RSV群が高かった。
・入院時のLRTIの割合は、インフルエンザA/B群88.4%、SARS-CoV-2群82.8%、RSV群87.8%であった。modified LRTIは、それぞれ95.7%、93.1%、93.9%といずれも高率であった。
本研究結果について、著者らは「急性呼吸器症状で緊急入院する高齢者において、RSVはインフルエンザやCOVID-19よりも高い死亡率に関連するリスク因子であった」と結論付けている。また「RSV陽性者の高い死亡率の背景には、抗ウイルス薬の使用機会がないことやワクチン未接種が影響している可能性がある」と考察し、日常診療におけるRSVの認識向上とともに、ワクチン接種を含む予防の重要性を強調している。
(ケアネット 佐藤 亮)